ここは、もうすぐ定年退職のワタシ(63歳)に、悩み多きお仕事ガールのムカシちゃん(23歳)が、仕事にまつわる悩みを話しに来る場所です。仕事のモヤモヤ、誰にだってあります。そんな、あるあるな話を皆さんと共有し、悩んでいるのは自分だけじゃないと気付いていただければ嬉しいです。過剰に落ち込まず、楽な気持ちで仕事が出来ますように。ザワつくこころが少しでも凪いでいくようなサイトを目指しています。
入ったばかりの同僚が辞めていったよ
ワタシ:あら?随分お久しぶり。元気にしてた?
ムカシ:うん。元気だよ。でも、少し色んな事を考えすぎて、頭に霧がかかっているみたいになってるよ。新しく中途で雇われた同僚が、1年経たないうちに、もーむりになって辞めたんだよ。
ワタシ:なんと!まあ、ムカシちゃんところの職場は人間関係難易度高いモノねw
ムカシ:笑い事じゃないよ。本当にうちの職場は動物園?いや、魑魅魍魎?とにかく生きていくだけで難易度高いよ。新しい人が入ってきたら、それなりに気を遣って慣れるまで疲れるよ。でも、ただでさえ悪い人間関係を引っかき回して、あげく辞めていったよ。疲れちゃったな。
ワタシ:あらら。でも本当に疲れただけだったかな?一緒に考えてみようよ。
すぐ辞めた同僚が残したモノ
同僚が入ってきたとき、元気で柔らかい雰囲気で、素敵だった。良い人が入ってきてくれて、良かったなと思いました。仕事も丁寧で経験を活かした風にやってるように思えました。きっと、動物園の仲間達もそう思っていたと思う。だって、みんな競って親切にしてたようだったから。人間関係が悪い職場は、事情を知らない誰かに「自分は悪くなくて他が悪いんだ」と言うことや「自分はまともだけど他の人たちは変な人なんだ」という事を伝えようとするのです。私は、同じ人種になりたくなくてだんまりを決めていました。でも・・・そんな職場だもの、浮いていると思われる、私のところへ寄ってきてランチするようになりました。色んな話をするうちに、いや、早い段階からあまり気が合わないと思ってました。仕事観が違う、人生観が違う、いろいろが違う。違うのは当たり前。だって別の人間だもの。でも、かっこ悪く一生懸命仕事をする私たちの事を少し馬鹿にするような態度が目に余ったのでした。私は自分を守るために一線を引くことにしました。それは、唯一の居場所を取り上げることを意味したのでした。彼はまもなく退職の意思を固めました。とても後味が悪かったけど、私は今回のことを後悔してはいないのです。
非常に正直に、誠実に向き合ったと思います。自分を見つめ、他の同僚を見つめ、自分を守るとはどういうことかを考えました。無理をしてまで相手のニーズに応えることは、もうやめようと思ったのでした。彼が来て、職場をひっかきまわしてくれたおかげで、新しい風が入ったようです。私たちの職場は自分を守りながら相手も大切にすること、その難しい課題に向き合うという新しいフェーズに入ったのでした。
それぞれの人が自分に向き合った10ヶ月
辞めた同僚は、私とのランチの間、悩み相談を持ちかけていました。毎回、職場を変わるのは自分の意思ではなく、外的要因だったよう。同僚が辞めた日、「本当にしたい仕事が見つかるよう祈っている」事を伝えたかったのでした。そして、これまでの私の無礼について謝ろうと思っていました。仕事の手を止めて、彼が退社する時間に合わせ会いに行きました。しっかり伝えられたと思った。でも、辞める理由は家族の事情であり、給料であり、自分以外の人間関係でした。その人にとってしんどい10ヶ月は、今回も外的要因だったよう。
上司は頭を悩ませていたようでした。職場は一人入ると、少しずつ全体の雰囲気が変わってくるのです。人間関係がこれまで以上に最悪になった瞬間がありました。だんだん彼は仕事内容の精彩を欠いていきました。欠勤が多くなり、無断欠勤も。そして仕事の申し送りは紙に1枚、相談もなしになされていく。クライアントからの苦情も聞くようになってきたのです。上司は関与してこないほったらかし上司でしたが、彼には数回指導をしているようでした。上司もまた、この10ヶ月自分のあり方を考える機会を持ったようです。
不機嫌をまき散らす人が居ます。その人も、彼の仕事ぶりには閉口していました。見切ったのです。もはや不機嫌をまき散らす事も辞めたようでした。10ヶ月で違う姿が見られました。
良い人であろうとする不幸のヒロインがいます。一番陰口を言っているのに、辞めるときの記念品はしっかり用意をしようとする人です。辞めることになったその人もまた、みんなにお礼の品を用意していました。私から見てなんだか白々しいプレゼント交換だったが、ヒロインと退職者の中では満足なプレゼント交換になったのでしょう。私は黙って集金に応じました。面倒な事をやりたい人がいてくれることに感謝すらしたのでした。
仕事を押しつけられた若い社員がいます。今もぐっと耐えています。社会人になってまだ数年、初めての職場がこの動物園で、この10ヶ月は反面教師と過ごす時間だったことでしょう。そうはなりたくない手本に出会うことも、仕事観を育てる大切な刺激だ。頑張れ若者!
私はこの動物園の一角で、色んな事を考えました。みんなのためとか言って、盛り上げようとするハイテンション動物だった私は、不機嫌な人や悲劇のヒロインを刺激していたんでしょう。楽しく仕事をしたい私の正義は、他の動物から見てただの目障りな動物だったのかも知れません。自分は自分。他人は他人。気の合う仲間とより良い関係を。気の合わない人とは最低限の関係を死守する。そんな線引きを学んだ10ヶ月でした。退職する人とは、そもそも合わないことが分かっていたのだから、一緒に楽しくなんて考えなくても良かったんだ。失礼のない最低限のお付き合いで乗り切るべきだったんだよね。反省。
職場のグループダイナミクス
グループダイナミクスとは、集団(グループ)の中でメンバー同士が互いに影響を与え合い、その相互作用によって集団全体の行動や意思決定に変化が生じる現象、およびそのメカニズムを説明する理論です。日本語では「集団力学」とも呼ばれ、社会心理学の重要な研究分野の一つとなっています。例えば、職場やプロジェクトチームなどで人々が集まると、個人単独では見られないような意思決定の傾向や行動パターンが現れます。グループダイナミクスの理論では、「集団は単なる個人の集合ではなく、メンバー間の関係性によって独自の性質(ダイナミクス)が生まれる」と考えます。そのため、集団内での役割分担や人間関係がメンバー各自の態度や行動を変化させ、結果的に集団全体の意思決定や成果に影響を及ぼすことがポイントです。この概念を理解することで、グループの力を適切に引き出し、組織やチームのパフォーマンス向上につなげることができます。
集団(グループ)と個人は双方向に影響し合う関係です。グループダイナミクスの視点では、個人の意思決定や行動はグループから大きな影響を受けると同時に、個人の言動や特性もグループ全体の雰囲気や結果に影響を及ぼすと考えます。例えば、多数派の意見に同調してしまう心理現象である「同調行動(コンフォーミティ)」により、個人は自分だけでは賛成しなかった案にも集団の圧力で賛成してしまうことがあります。また、一人ひとりは慎重でもグループになるとリスクの高い決定をしやすくなる「リスキーシフト(集団極性化の一種)」という傾向も知られています。これは責任やリスクが個人に集中しないため大胆な行動に出やすくなるためです。逆に、個人がグループに与える影響の例としては、カリスマ的なリーダーの存在が挙げられます。強いリーダーシップや専門知識を持つ人がグループ内にいると、その人の意見が集団の方向性を左右したり、他のメンバーのモチベーションを高めたりします。このように、グループと個人はお互いに影響を与え合うため、両者の関係性(集団力学と個人力学)を理解することが重要です。組織のリーダーやマネージャーは、このメカニズムを踏まえてチーム運営を行うことで、個人の能力を活かしつつ健全な集団行動を促すことが可能になります。
私たちの動物園は、絶妙な力関係で日常業務を遂行していました。我慢する事が結構多いのですが、みんな同じように我慢をしているのです。一滴落ちると決壊する表面張力のような状態に新入社員という一滴が落ちた瞬間にあふれ出したような状態だったのです。また、よそ行きの顔で頑張っていた彼自身も、決壊と同時に、仕事に対する不誠実さや能力不足が顕在化してしまったようです。表面張力は緊張感が高すぎる。そこまで行かないように距離感を調節することが大切なのでしょう。クループダイナミクスは良い影響を与え合うことだけでなく悪い影響が増幅する恐怖の力動でもあるのだと感じたのでした。
会社は生き物
ムカシ:そうだよね。表面張力でいっぱいいっぱいのところに落とされた一滴の彼は、もし、余裕のある大きなバケツに落とされたなら、いまも、仕事を辞めずによそ行きの顔を大切にしながら仕事をしていたのかも知れないね。
ワタシ:うん。ほんと。でも、彼はムカシちゃんの職場には合わない人で、ムカシちゃんの職場に問題提起をしに来た貴重な客人だったのかも知れないね。
ムカシ:緊張感のある動物園で、もしくは魑魅魍魎のうごめく異界で働く自分へ。自分を大切に、そして同僚のことも最低限大切に。楽しくのびのびと働くことが大切な私は、自分のために楽しくのびのびとやっていこう。そして、そういう環境を守れるように誠実に真面目に仕事をしようと思ったのでした。

